『鉄コン筋クリート』『マインド・ゲーム』『THE ANIMATRIX』など、斬新な話題作を次々と放ってきたビジュアルクリエイティヴ集団・STUDIO4℃。
彼らが“映像よ街に出よう”をテーマに挑んだ意欲的プロジェクトが、この『Genius Party』である。
「制約=ゼロ」というコンセプトのもと、才能溢れる多彩な監督たちが短編アニメーションを競作。
2007年に公開された第1弾では、7人の作家陣が無限のクリエイティヴィティを軽やかに披露した。
そして2008年、いよいよ待望の第2弾がそのヴェールを脱ぐ。題して『Genius Party Beyond』。
前作で示された広大なアニメーションの表現領域から、さらに彼方(Beyond)へと突き抜ける鮮烈な傑作群がここに集結した。
それらはまさに、アニメーションの歴史に新たなマイルストーンを打ち立てる珠玉のフィルムたち。その衝撃をスクリーンで目撃できる至福に震えてほしい。
ハイクオリティかつエッジのきいた映像作品を発信し続ける精鋭クリエイティヴ集団。才能豊かなクリエイターたちに積極的に創作の場を与え、常に映像表現の新たな可能性を追求。
業界内でいち早くデジタル技術を導入するなど、先鋭的なビジュアルメイキングにおいて最先端を行くアニメーション・スタジオとして世界的に認知されている。
STUDIO4℃の発起人であり、現CEOの田中栄子は、宮崎駿監督の『となりのトトロ』('87)や『魔女の宅急便』('89)でラインプロデューサーを務め、そこで若き日の森本晃司らと出会った。
ある日、彼らから「自分たちのハーレムを作りたい」と相談を持ちかけられた田中は、アニメーターたちの自由な表現の場として、1990年にSTUDIO4℃を本格始動させた。
その後、映画・TVを始め、ミュージッククリップ、CM、ゲームムービー、展示映像など、様々なメディアで多彩な作品を制作し続けている。
STUDIO4℃といえば、ハイクオリティかつ鮮烈なインパクトを有するショートフィルムの数々で知られる。
ケン・イシイ「EXTRA」、GLAY「サバイバル」などのミュージッククリップ、劇場短編『音響生命体ノイズマン』('97)、連作ショートアニメ『永久家族』('98)、短編作品集『デジタルジュース』('01)、
そしてワーナーブラザーズと共同プロデュースした短編アンソロジー『THE ANIMATRIX』('03)などが代表作だ。NIKEのCMシリーズや、TV番組「リンカーン」のオープニング映像なども、一度見たら忘れられない。
そして劇場長編では、大友克洋総監督のオムニバス作品『MEMORIES』('95)を皮切りに、川崎博嗣監督の『SPRIGGAN』('98)、片渕須直監督の『アリーテ姫』('00)と、コンスタントに力作を発表。
ロビン西の傑作マンガを映画化した湯浅政明監督作『マインド・ゲーム』('04)は、斬新な映像表現と奥深いテーマ性が注目され、文化庁メディア芸術祭大賞を受賞した。
松本大洋原作の『鉄コン筋クリート』(06)は劇場でスマッシュヒットを記録し、日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞など数々の賞を国内外で獲得。
また、TV『魔法少女隊アルス』('04)、OVA『デトロイト・メタル・シティ』('08)など、シリーズ作品にも意欲的に取り組んでいる。
2001年に立ち上がった『Genius Party』プロジェクトは、STUDIO4℃の集大成的企画。これまで様々な作品で培ってきたアニメーション制作のノウハウを全て活かし、セルフプロデュースで真にオリジナルな作品を作り上げていく。
それは設立当初からの夢であった「アニメ作家たちのハーレム」そのものだ。田中栄子CEOが世界に紹介したいと願ったジーニアスたちの宴は、2007年にようやく第1弾が完成・公開。
そして今年、第2弾『Genius Party Beyond』が満を持して登場する。WEB上では連動して一般参加型の映像コンテスト「Next Genius」も開催され、世界中から多くの作品が寄せられた。
常に新たな発表の場を模索し続けるSTUDIO4℃が、現在注目しているのは“街”。携帯電話やiPodなど、様々なかたちのメディアが登場し、今や映像を楽しめるフィールドは街中に広がった。
手軽に見られるショートフィルムの特性を活かして、次にSTUDIO4℃作品が現れる場所は一体どこだろう? これからも当分、その動向から目が離せそうにない。